RIPのアップデートタイマ
図解教本のRIP問題を解く
図解教本sec203
RIPのアップデートタイマの値はデフォルトではいくつか。
⇒正解 30秒
●ディスタンスベクタ型のタイマ
1.アップデートタイマ
RIP=30秒 IGRP=90秒
2.無効タイマ
RIP=180秒 IGRP=270秒
3.ホールドダウンタイマ
RIP=180秒 IGRP=280秒
4.フラッシュタイマ
RIP=240秒 IGRP=630秒
ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルは、学習した経路情報の信頼性を維持するために、各経路情報に対して有効期限を設定し、この期限を管理するために、
・アップデートタイマ
・無効タイマ
・ホールドダウンタイマ
・フラッシュタイマ
という4つのタイマを使用する。
●ディスタンスベクタ型におけるタイマ値表
プロトコル | アップデート | 無効 | ホールドダウン | フラッシュ |
RIP | 30秒 | 180秒 | 180秒 | 240秒 |
IGRP | 90秒 | 270秒 | 280秒 | 630秒 |
●アップデートタイマ
アップデートタイマは、ルーティングアップデートの送信間隔を表すもので、「更新タイマ」とも呼ばれる。
アップデートタイマは、ルータが隣接ルータから有効なルーティングアップデートを受信すると、そのアップデートに含まれている経路に関するタイマを0にリセットする。
このタイマは時間の経過とともに加算され、満了に達するとルータはルーティングアップデートを送信する。
●無効タイマ
無効タイマは、経路の異常を検知するもので、隣接ルータから受信したルーティングアップデートの中にそれ以前に受信した経路情報が含まれている場合には、0にリセットされる。
このタイマが満了した場合は、RIPでは6回連続、IGRPでは3回連続で隣接ルータからのルーティングアップデートによって既知の経路情報を受信しなかったこと、そしてその経路に異常が発生した可能性があることを意味する。
ある経路の無効タイマが満了になると、ルータはその経路をルートポイズニングしてトリガードアップデートを送信する。
●ホールドダウンタイマ
ホールドダウンタイマは、ルートポイズニングした無効な経路情報が誤った情報によって上書きされてしまうのを防ぐ。
例えば、ある無効な経路を通知するトリガードアップデートを受信したあるルータが、まだこのアップデートを受信していない他のルータから、その無効な経路が「まだ有効である」という誤った情報を受信し、無効にしたはずの経路を「有効である」と判断して書き換えてしまう可能性がある。
この現象を防ぐため、ホールドダウンタイマはある経路の無効タイマが、上限に達した時点で起動し、タイマの作動中にその経路に関して自分が既に学習したメトリックと同じ、或いはそれよりも悪いメトリックを持つアップデートが来たら全て無視し、無効な経路情報がネットワークに広がるのを防ぐ。
その一方、自分が既に学習したメトリックよりも良いメトリックを持つトリガードアップデートを受信すると、以前よりも良い経路が発見されたと判断し、この経路のホールドダウンタイマを0にリセットして、ルーティングテーブル上のメトリックを新しいものに更新する。
また、ホールドダウンタイマが作動した経路はルータによってメトリックが到達不可能な値に設定される。(=ルートポイズニング)
この状態を「ホールドダウン状態」という。
ホールドダウン状態のタイマはその上限値に向けて値を加算していく。ルータがホールドダウン状態の経路を宛先とするパケットを受信した場合はこれを破棄する。
●ポイズンリバース
ルータは、ある経路が無効であるというトリガードアップデートを受信した場合、ホールドダウンタイマを起動させると同時に、自分のルーティングテーブル上の該当経路をルートポイズニングしたことを、トリガードアップデートの送信元ルータに確認応答として通知するために、「ポイズンリバース」という機能を実行する。
ポイズンリバースは、ある経路がダウンしたことをトリガードアップデートで教えてくれた隣接ルータに対して、その経路を無効にしたルーティングテーブルを通知することを指す。
この場合に限り、スプリットホライズンのルールは無視される。
●フラッシュタイマ
フラッシュタイマは、タイマの上限に達した経路を、ルーティングテーブルから削除するためのもので、無効タイマと同時に起動する。
無効であると疑われた経路の復活を通知するトリガードアップデートを受信した場合、タイマは0にリセットされる。
CiscoルータでRIPを使用する場合、フラッシュタイマが満了した経路は、ホールドダウンタイマが満了する前にルーティングテーブルから削除される点に注意すること。
図解教本sec204 ジャンプ問題
19.ネットワーク上の各ルータが経路情報の学習を完了している状態を何と言うか。
C コンバージェンス
⇒正解
20.ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルを使用している場合に発生する可能性がある問題はどれか。
3つ選択せよ。
A ルーティングループ
D ブロードキャストによる帯域幅圧迫
E 遅いコンバージェンス
⇒正解
21.RIPで到達可能なホップ数の最大値はいくつか。
C 15
⇒正解
22.ある経路がダウンしたことを検知すると、即座に隣接ルータに通知する仕組みはどれか。
B トリガードアップデート
⇒正解
23.RIPとIGRPのホールドダウンタイマ値の組み合わせとして正しいものはどれか。
C RIP=30秒 IGRP=90秒
⇒不正解(Cはアップデートの間隔)
正解はA RIP=180秒 IGRP=280秒
24.無効な経路をルーティングテーブルから削除するために使用されるタイマはどれか。
C フラッシュタイマ
⇒正解
図解教本sec205
RIPの特徴について正しいものはどれか。
⇒正解 RIPのメトリックはホップ数で、15ホップ以下が到達可能な経路になる。
●RIPの特徴
1.RIPはディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルで、30秒毎にルーティングアップデートを送信する。
2.メトリックはホップ数で、到達可能な経路の最大値は15ホップである。
3.RIPv1=クラスフルルーティングプロトコル(サブネットマスク情報を含まない)
4.RIPv2=クラスレスルーティングプロトコル(サブネットマスク情報を含める)
RIPには幾つか種類があるため、ここではIP RIPとして表記する。
RIPは数十台のルータで構成される小規模の環境用に設計されたディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルである。
現在のRIPには、クラスフルルーティングプロトコルであるRIPv1と、クラスレスルーティングプロトコルであるRIPv2の2種類がある。
CiscoルータはデフォルトでRIPv1を使用する。
ここでのクラスフル/クラスレスとは
「ルーティングアップデートにサブネットマスク情報を含めるかどうか」によって区別される。
RIPv1はルーティングアップデートを送信する際、サブネットマスク情報を含めない。
RIPv2はルーティングアップデートを送信する際、サブネットマスク情報を含める。
その他のクラスフルルーティングプロトコルにはIGRPがある。
クラスレスルーティングプロトコルにはOSPFやEIGRPがある。
図解教本sec206
Ciscoルータ上でRIPを起動させるコマンドは次のどれか。
⇒正解 Router(config)#router rip
●RIPの基本設定コマンド
1.RIP起動コマンド=router rip
2.ネットワーク設定コマンド=network
CiscoルータでRIPを起動する場合は、以下の一連のコマンドを使用する。
Router(config)#router rip
Router(config-router)#network [クラスフルなネットワークアドレス]
router ripのコマンドを実行すると、グローバルコンフィグモードからルータコンフィグモードに切り替わる。
RIP起動後、ルーティングアップデートを受信するインタフェースに直接接続されたネットワークアドレスを、network [クラスフルなネットワークアドレス]のコマンドでクラスフルに指定する。
このコマンドは、RIPを動かすネットワークを指定し、RIPで伝えるネットワーク情報を指定するために使用する。
この結果、networkコマンドで指定されたネットワークアドレスがこのネットワークに直接接続されたインタフェースからRIPによるルーティングアップデートとして、隣接ルータとの間でブロードキャスト(255.255.255.255)で送受信される。
●RIPの設定例
Router(config)#router rip ←ルータ上でRIPを起動した。
Router(config-router)# ←プロンプトがルータコンフィグモードに切り替わった。
Router(config-router)#network 10.0.0.0 ←ネットワークアドレスをクラスフルで指定した。
このとき、たとえばnetworkコマンドに続けてサブネットアドレス10.1.1.0を入力した場合、Ciscoルータはこれを10.0.0.0に自動修正する。
このため、show running-configコマンドで設定を確認すると10.1.1.0と入力したはずが10.0.0.0と表示されるが、これは正しい動作である。
RIPv1の場合、あくまでクラスフルにアドレスを指定することを注意すること。
図解教本sec207
●ルータAにおける実際のRIP設定例
[ネットワーク図]
PC
||
10.1.1.0/24
||
[fa0/0]
ルータA
[fa0/1]
||
10.1.2.0/24
||
[fa0/0]
ルータB
[fa0/1]
||
10.1.3.0/24
||
[fa0/0]
ルータC
[fa0/1]
||
10.1.4.0/24
||
PC
●上記ネットワークにおけるルータAの設定例
routerA(config)#int fa0/0
routerA(config-if)#ip address 10.1.1.254 255.255.255.0 ←①
routerA(config-if)#no shutdown
routerA(config-if)#int fa0/1
routerA(config-if)#ip address 10.1.2.1 255.255.255.0 ←②
routerA(config-if)#no shutdown
routerA(config-if)#exit
routerA(config)#router rip ←ルータ上でRIPを起動した。
routerA(config-router)#network 10.0.0.0 ←①と②のアドレスをクラスフルで指定した。
上記の例では、ルータAでRIPのルーティングアップデートを送受信させるインタフェースに対して適切なIPアドレスとサブネットマスクを設定し、続けてRIPを起動してルータAのインタフェースに直接接続されたネットワークアドレスをクラスフルで指定している。
ルータBとルータCにもRIPを動作させるために、続けて設定を行う。
●上記ネットワークにおけるルータBの設定例
routerB(config)#int fa0/0
routerB(config-if)#ip address 10.1.2.254 255.255.255.0 ←①
routerB(config-if)#no shutdown
routerB(config-if)#int fa0/1
routerB(config-if)#ip address 10.1.3.1 255.255.255.0 ←②
routerB(config-if)#no shutdown
routerB(config-if)#exit
routerB(config)#router rip ←ルータ上でRIPを起動した。
routerB(config-router)#network 10.0.0.0 ←①と②のアドレスをクラスフルで指定した。
●上記ネットワークにおけるルータBの設定例
routerC(config)#int fa0/0
routerC(config-if)#ip address 10.1.3.254 255.255.255.0 ←①
routerC(config-if)#no shutdown
routerC(config-if)#int fa0/1
routerC(config-if)#ip address 10.1.4.1 255.255.255.0 ←②
routerC(config-if)#no shutdown
routerC(config-if)#exit
routerC(config)#router rip ←ルータ上でRIPを起動した。
routerC(config-router)#network 10.0.0.0 ←①と②のアドレスをクラスフルで指定した。
図解教本sec208 ジャンプ問題
25.RIPの特徴として正しいものはどれか。
C RIPはディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルである。
⇒正解
26.RIPv1とRIPv2の違いについて述べているもの二つ。
A RIPv1はクラスフル、RIPv2はクラスレス。
D RIPv2はサブネットマスク情報をルーティングアップデートに含める。
⇒正解
27.あるルータでRIPを起動したものの経路学習が行われていない場合、追加すべき設定として正しいものはどれか。
B 自分に直接接続されたネットワークのネットワークアドレス
⇒正解
28.ルータ上でRIPの設定が完了すると、ルータはルーティングアップデートを隣接ルータと交換し始めるが、このときルーティングアップデートはどのようなトラフィックとして送信されるか。
A ブロードキャストトラフィック
⇒正解
29.次のうち、RIPのnetworkコマンドの設定として正しいものはどれか。
C Router(config-router)#network 192.168.9.0
⇒正解
30.次のうち、RIPの基本設定として必要のないものはどれか。
D スタティックルートを設定する。
⇒正解
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